ファーウェイから今年発売されたハイエンドスマホのP20 Pro。
昨今スマホではハイエンドからローエンドに至るまでデュアルカメラがスタンダードになりつつありますが、ファーウェイは3つのカメラを備えたトリプルカメラを打ち出してきました。
今回は、P20 Proの実機を実際に数週間利用して中で感じたことを中心にレビューをお届けします。
日本での発売日や価格は本記事を書く時点では不明ですが、P10の売り上げた好調なことから発売は確実視されています。
光学3倍ズームも可能なトリプルカメラ
P20 Proの一番の特徴はなんといってもスマートフォンで初となる3つのレンズで構成されるトリプルカメラです。
P10と同様にライカレンズを採用しています。
3つのレンズはそれぞれ、以下のスペックとなっています。
- RGBセンサー:4000万画素, F値1.8
- モノクロセンサー: 2000万画素, F値1.6
- 望遠レンズ(光学3倍)::800万画素, F値2.4
デジカメ並の1/1.7インチサイズのセンサーを搭載し高画質を実現
P20 Proはトリプルカメラが注目されるわけですが、4000万画素のメインセンサーも注目点です。
注目すべきはその画素数ではなく、画質に直結するセンサーサイズの大きさです。
スマートフォンでは初めてとなる1/1.7インチ型サイズのセンサーを搭載しました。
昨今の高級コンデジは1インチのセンサーサイズを搭載していますが、数年前までの高級コンデジのセンサーは1/1.7インチのセンサーを搭載していました。
3月にフランスのパリで開催された発表会では、そのセンサーの大きさについてもライバルとなるiPhone XやGalaxy S9+と比較してアピールしていました。
Madness... pic.twitter.com/sTqmq1CZYW
— Roland Quandt (@rquandt) 2018年3月27日
このスマホとしては巨大なセンサーとライカレンズを組み合わせたことで得られる高画質な写真は、外部評価機関でも非常に高く評価されています。
iPhoneやGalaxyといったハイエンドスマホの新型が出る度に各種メディアで引用されるのがDxO Markが発表するスコアです。
そして、なんと今回Huaweiが発表したP20では一番ハイエンドのProとスタンダードな無印P20が初めて100点越えを達成し、P20 Proに至っては、これまで一番高いスコアを出していたGoogleのPixel2よりも11点も高い109点というスコアになっています。
スマートフォン名 | DxO Markのスコア |
P20 Pro | 109 |
P20 | 102 |
Galaxy S9+ | 99 |
Pixel2 | 98 |
iPhone X | 97 |
Mate 10 Pro | 97 |
iPhone 8 Plus | 94 |
Galaxy Note 8 | 94 |
iPhone 8 | 92 |
出典:DxOMark - The Reference for Image Quality
通常DxO Markのスコアは毎年新モデルが出る度に1,2点上回るのが常だったのですが、P20シリーズはiPhoneやGalaxyといった他の人気モデルを一気に引き離す結果となっている点に驚きがあがっています。
光学3倍を使うには設定変更が必要
P20 Proのトリプルカメラには光学3倍の望遠レンズが1つ備わっています。
デジタルズームではなく、光学ズームなので画質が劣化することなく遠くの物を撮影することが出来ます。
しかし、実機を利用してみたところちょっと使い難い点がありました。
それは何かというと、撮影の解像度を変更しなければならないという点です。
4000万画素の高解像度モードを選択していると、ズームは光学ズーム、デジタルズーム関係なく一切出来ません。
光学ズームやデジタルズームを使うには、1000万画素の解像度に設定を変更する必要があります。
10メガピクセルの解像度にすると、カメラの撮影モードで右側に1xや3xといった感じのズーム倍率を表すボタンが表示されるようになります。
解像度を40メガピクセルにしていても、わざわざ設定画面で解像度を変えなくてもズームモードに変えられるようにするのは難しいことでは無いはずなのですが、なぜこのような仕様になっているのか気になりますが、今後のアップデートや日本での発売までには改善されるのを期待したいところです。
AI機能を使った場合と使ってない場合の画質比較
最近はAIを活用して撮影モードを最適化するのが最近流行していますが、P20もAIで撮影環境を判断して、調整が行われます。
以下に、AIでの撮影モードを有効にした場合の夜景写真と、AI機能を無効にした場合の夜景写真を並べます。
見て頂ければ違いについて一目瞭然ですが、どちらが好みでしょうか?
AI機能を無効にした状態ではISO感度は6400で撮影されていて、AI機能を有効にした状態だとISO感度は3200で撮影されていました。
また、AI機能を有効にした場合は、この場面ではスマホの画面に「草木」と表示されていたので、草木がノイズ少なく撮影できるように調整していたのだと思います。
画質をiPhoneのカメラと比較
続いてiPhone 8とP20 Proの画質を比較してみます。
先程と同じ構図の夜景写真をiPhone 8で撮影したのが下の写真となります。
こうしてみてみると、iPhoneのセンサーはP20 Proに比べると全然小さいわけですが、夜景についていえば、自然な感じに仕上げられているので、画像処理の良さを感じます。
P20 Proでもマニュアル撮影で露出補正やISO感度などを調整すればセンサーが大きい分iPhoneよりも高画質な写真が取ることは可能なので、上級者ほど使う楽しみはあるかと思います。
ボケ感のある写真
P20 Proにはポートレートモードの撮影機能があるので、ボケ感のある写真もキレイに撮れます。
iPhone Xとの直接比較は出来ませんが、iPhone 8の不自然なボケ感と比べると、自然な感じに仕上がります。
光学ズームと5倍ハイブリッドズームの画質
P20 Proでは光学で3倍ズームが可能で、デジタルズームと合わせたハイブリッドズームを利用すると最大で5倍までのズームが可能です。
ここに気になるのがズームした時の画質です。
日中だと5倍のズームでもあまり劣化を感じることはありませんでした。
それに対して夜間ではズームした状態だとノイズが激しい状態だったので、夜間にあまり光が無い場所でズームを利用した撮影は厳しいと感じました。
iPhone Xよりも使い勝手が良い顔認証機能
iPhone Xが始めたノッチ入りディスプレイのデザイン。
今年発表されているスマートフォンはiPhone Xのデザインをコピーした作品が氾濫しているわけですが、P20 ProもiPhone Xのデザインをコピーしたノッチ入りのディスプレイとなっています。
このノッチ部分には2400万画素のフロントカメラや顔認証用のセンサーなどが備わっています。
顔認証機能は以前からAndroidスマホでありましが、一般的になったのは昨年のiPhone Xからです。
しかし、iPhone Xの顔認証機能は指紋認証に比べて一度スワイプする必要があるなど操作回数が多く使い勝手は正直悪くて、毎回ストレスでした。
www.zbuffer3dp.com
それに対してP20 Proの顔認証はスマホを持ち上げれば自動的に顔を判別するので余計なスワイプ操作が不要でした。
そのためiPhone Xで感じた不便さはありませんでした。
顔認証の精度やスピードもiPhone Xと遜色ない感じです。
顔認証はマスクをした状態などでは認識されないので、日本人にとっては使いづらい機能である点は変わりありませんが、P20 Proは指紋認証機能も引き続き利用可能なので、顔認証を使いたくない場合は従来通り指紋認証を利用すれば良いので、その点については心配する必要はありません。
P20シリーズとのスペック比較
HuaweiのP20シリーズは今回レビューしているハイエンドのPro以外にスタンダードな無印のP20とエントリーモデルのP20 liteの3つで構成されています。
これらの3モデルのスペックの違いについては、下記スペック表を見て比較してもらえればと思います。
モデル名 | P20 Pro | P20 | P20 lite |
CPU | Kirin 970 | Proと同じ | Kirin 659 |
RAMメモリ | 6GB | 4GB | 4GB |
ディスプレイ | 6.1インチ 有機EL 1080 x 2240ピクセル 408 ppi |
5.8インチ 液晶 1080 x 2240ピクセル 429 ppi |
5.84インチ 液晶 1080×2280ピクセル 432ppi |
Wi-Fi | 802.11 a/b/g/n/ac (2.4 / 5 GHz) | Proと同じ | Proと同じ |
ブルートゥース | 4.2 | Proと同じ | Proと同じ |
背面カメラ | トリプルカメラ 4000万画素+2000万画素+800万画素 40MP: f値1.8, 1/1.7", 光学手ブレ補正 20MP: f値1.6 8MP: f値2.4, 光学3倍ズーム(80mm) レーザーAF |
デュアルカメラ 2000万画素+1600万画素 12MP: f値1.8, 1/2.3", 1.55 µm, 光学手ブレ補正 20MP: f値1.6 レーザーAF |
デュアルカメラ 1600万画素+200万画素 16MP: f値2.2, 1.0 µm 2MP: f値2.4 |
前面カメラ | 2400万画素, f値2.0 | Proと同じ | 1600万画素,f値2.0, 1.12 µm |
バッテリー容量 | 4,000 mAh | 3,400 mAh | 3,000 mAh |
重量 | 180g | 165g | 145g |
USB | USB3.1 Type-C | Proと同じ | USB2.0 Type-C |
サイズ | 155 x 73.9 x 7.8 mm | 149.1 x 70.8 x 7.7 mm | 148.6 x 71.2 x 7.4 mm |
ベンチマークテストアプリでの結果
P20 ProのCPUを含めたSocはHuaweiの子会社であるHiSilicon製の「Kirin 970」です。
「Kirin 970」自体は昨年発売されたMate 10 Proで採用されているので、今回のタイミングで登場したわけではありませんが、端末が異なるので一応ベンチマークアプリでのテスト結果を載せておきます。
昨今はミドルレンジやエントリーモデルのCPUでも日常生活上は問題ないパフォーマンスを発揮するSoCとなっていますが、AIを利用したり、高性能なカメラを利用する場合にはどうしても高い性能のCPUが求められます。
「Zenfone 5」とのサイズ比較
P20の競合となるのが、ASUSのZenfone 5です。
Zenfone 5も日本での発売が確実視されているSIMフリースマホなので、購入する際に比較検討されると思います。
そこでサイズ感を把握してもらうのに双方のモデルを並べた写真を用意しました。
左が「P20 Pro」で右側が「Zenfone 5」となっています。
大きさはどちらもそれほど変わりませんが、厚みについてはP20 Proの方が持った感じ薄いですね。
でもサイズに関していえば、どちらも似たような感じでなので特に気にする必要はないかと思います。
日本での発売日と販売価格
P20 Proについては、P10までと同様にSIMフリー版が日本国内でも発売されると思われてきましたが、少なくともP20 Proに関してはNTTドコモ版のみの発売で、日本国内でSIMフリー版の発売はありません。
※ドコモ版を購入してSIMロックを解除してSIMフリー化は当然できます。
P20 Proは10万円を超える高級機であるため、キャリアによる割引が無いと売れないのと、キャリアにとっても差別化が出来るスマホということでしょう。
ドコモとしては、auやソフトバンクと差別化する上でもP20 Proを独占販売できるのは大きいですね。
ドコモでは実質2万円台という価格で購入可能
そのドコモ版ですが、6月下旬に発売されることが発表されました。
ドコモからの販売価格ですが、一括で10万3680円となっています。
既にドコモを契約している人が機種変更する場合や、ドコモと新規契約した場合の割引は、4万6656円となっているのに対して、MNPでドコモを契約すると総額8万1000円もの割引が行われて、実質2万2680円で購入可能となっています。
また、ドコモオンラインショップでP20 Proを購入するとdポイントが5000円相当がプレゼントされるキャンペーンが行われており、また抽選にはなりますが、更に1万円相当のdポイントも付与される可能性があります。
P20 Proは海外で10万円を超える価格となっているので、この割引は魅力的ですね。