日本では5月15日に台湾のASUSから発表される予定のZenfone5ですが、海外で購入して1週間ほど使用したので、これから日本で購入する上で参考にしてもらうべくレビュー記事をお届けします。
Zenfone5という名称は紛らわしい
ASUSには2014年に発売したZenfone5という今回と同じ名称のスマートフォンがありました。
当時は今のようにSIMフリーのスマートフォンはそれほどなく、ASUSのスマホは日本でも人気となりました。
2014年に発売されたZenfone5は、ディスプレイサイズが5インチだったことから名付けられたのですが、ASUSでは翌年からZenfone 2、Zenfone 3、Zenfone 4と一年ごとにナンバリングする方法になっています。
新Zenfone5には3機種のモデルが存在
Zenfone5には今回レビューした無印版の他にエントリーモデルのZenfone5 liteとハイエンドのZenfone5Zの3機種があります。
このうち無印版のZenfone5とハイエンドの5Zは本体のデザインやカメラは同一で、CPUが異なります。
Zenfone5 liteは、格安スマホと呼ばれるようなエントリーモデルですが、背面だけでなく、フロント側のカメラも広角120度のデュアルカメラになっている点が異なります。
無印版がQualcommのSnapdragon636を搭載しているのに対して、5ZはSnapdragon845というより高い性能のCPUを搭載しています。
Zenfone5の特徴はAI機能
Zenfone5の特徴はカメラはもとよりパフォーマンスや充電など色んな場面でAI(人工知能)を活用している点です。
2月末のMWCで発表された際もAI対応の強化をアピールしていました。
AIカメラ
AIカメラはざっくり言うと撮影シーンを認識する機能です。
レンズを通してセンサーで得られた情報から撮影しようとしているシーンを16パターンに見分けて最適化します。
このような機能はASUSだけでなく、Huaweiを始め色んなメーカが取り入れている機能です。
今回実際にZenfone5のカメラで風景などを撮影してみましたが、正直AIの恩恵は感じることは出来ませんでした。
以前からオート撮影でも撮影シーンを自動認識しているのに対して、AIを用いることで何が変わるかというと、各利用者が撮影した画像を学習して画像処理を最適化できることです。
AIを用いない場合は、人手で画像処理のアルゴリズムを更新していくことになります。
ただ、正直なところ今のAIブームにおいて、本当に機械学習を活用できているのかという疑問は感じます。
AIブーストによるパフォーマンス向上度合い
Zenfone5にはAIブーストと読んでいるパフォーマンス向上の機能があります。
AIブーストを有効にするか、無効にするかは設定画面で切り替えることが出来ます。
続いてスマホの性能を測定するベンチマークテストアプリとして有名なAnTuTu benchmarkを利用して、AIブーストを使った場合の向上度合いについて見てみました。
全体のスコアとしては約11%の向上となりました。
CPUのベンチマークスコアが大きく向上する一方でグラフィック処理を担うGPUについては向上度合いは少ないですね。
尚、当然ではありますが、AIブーストを有効にすると電池の消耗は無効時よりも大きくなります。
スマホでゲームをする方なんかはAIブーストを有効にすることで、より快適に楽しむことができそうです。
Zenfone5のデュアルカメラ仕様と画質
今や全てのスマホに搭載されつつあるデュアルカメラ。
各社それぞれ差別化しようとしている部分で、光学ズームを搭載するところもあれば、ファーウェイのようにカラーのRGBセンサーと白黒のセンサーとで高画質を実現しようとしているところもあります。
デュアルカメラの仕様
そんな中、今回のZenfone5のデュアルカメラは、メインカメラと広角レンズを搭載しているサブカメラの構成となっています。
デュアルカメラのレンズは、iPhone Xほどではないですが、出っ張っています。
付属のケースを付けることで、面一になるので机などに置いてもレンズが傷つくことがないようになっています。
デュアルカメラの仕様ですが、メインカメラの方は1200万画素で1/2.55インチのセンサーを搭載し、レンズのF値は1.8と明るいレンズとなっています。
2つ目のサブカメラは800万画素で、1/4インチセンサーを搭載しF値は2.0となっています。
光学手ブレ補正は無く、電子式の手ぶれ補正と位相差オートフォーカスを備えています。
Zenfone5で撮影した写真とGalaxy S9+で撮影した写真を比較
次にそれぞれのレンズで撮影した写真をサンプルとして掲載します。
同じ場所で撮影していますが、広角側のレンズだとより広い範囲の景色を収めることが出来ていることが分かります。
また、それぞれセンサーが異なるので、写真の色合いも異なります。
また、比較用にSamsungのGalaxy S9+で撮影した写真も以下に掲載します。
Galaxy S9+では通常のデジカメのように絞り羽根を使ってF値を制御しているのですが、下記写真はF値2.4で撮影した写真となります。
こうしてみてみると、Galaxy S9+のカメラで撮影した写真の方が実際の景色に近く、Zenfone5のカメラで撮影した写真は暗くなってしまっています。
ポートレートモードで撮影した写真
Zenfone5には背景をぼかすポートレートモードが搭載されています。
人物を撮影する際に大活躍するポートレートモードですが、今回はお花をサンプルに通常モードと比較してみました。
まずはポートレートモードで撮影した写真です。
次に通常モードで撮影した写真。
ボケ具合については、なんとも評価し難いですが、それほど不自然な感じはしないですね。
夜間撮影はiPhone 8よりも画質がかなり良い
カメラのセンサーやレンズ性能の差出やすい夜間や光量が少ない環境下での画質ですが、予想外にiPhone 8に比べてかなり良かったです。
上記Zenfone5の写真はメインカメラで撮影したものになりますが、同じ環境で広角レンズのサブカメラで撮影しようとすると、「低光環境が検知されました。メインカメラを使用してください。」というメッセージが表示されました。
広角レンズを搭載しているカメラはメインカメラに比べてセンサーサイズも小さいですし、レンズの明るさも異なることから夜景を撮影する際はメインカメラを使いましょう。
尚、メインカメラと広角レンズのカメラの切替は、シャッターボタンの上に表示されているボタンで切り替えられます。
流行りのノッチ入り画面に設けられたカメラで顔認証機能を実装
Zenfone5は、今年になって何故か大流行しているノッチ付きディスプレイです。
ノッチ部分にはフロントカメラが搭載されています。
フロントカメラは、800万画素の1/4インチセンサーで、レンズのF値は2.0となっています。
光学手ブレ補正はありませんが、電子式手ぶれ補正を備えています。
このフロントカメラを使って顔認証によるロック解除が行うことが出来ます。
顔認証の使い心地
iPhone Xの登場以来、Androidスマホでも再び顔認証を搭載する機種が多くなってきました。
今回実際にZenfone5の顔認証を利用してみましたが、認証自体は瞬時に行われ特にストレスは感じませんでした。
但し、iPhone Xの時もそうでしたが、顔認証するのに、一度端末のボタンを押すなどワンクッション必要な点は頂けません。
ここに関してはHuaweiのP20の顔認証は、余計なワンクッションがないので使い勝手は非常に良かった改めて感じますね。
Zenfone5のスペックを確認
ここで改めてZenfone5のスペックを整理してまとめておきます。
ディスプレイ | IPS液晶 |
ディスプレイサイズ | 6.2インチ,端末の83.6%がディスプレイ領域 |
ディスプレイ解像度 | 1080 x 2246ピクセル, 比率18.7:9 (402 ppi) |
OS | Android 8.0 |
CPU | Qualcomm Snapdragon 636 |
外部メモリ | microSD |
RAM | 4GB RAM |
リアカメラ | メインカメラ:12 MP (f/1.8, 24 mm, 1/2.55", 1.4 µm, PDAF) サブカメラ: 8 MP (f/2.0, 12 mm, 1/4", 1.12 µm) 位相差オートフォーカス,電子式手ぶれ補正,デュアルLEDフラッシュ |
フロントカメラ | 8 MP (f/2.0, 24 mm, 1/4", 1.12 µm), 電子式手ぶれ補正, 1080p |
無線LAN | 802.11 a/b/g/n/ac |
Bluetooth | v5.0, A2DP, LE |
NFC | あり |
サイズ | 153 x 75.7 x 7.9 mm |
重量 | 155 g |
バッテリー容量 | 3300 mAh |
3Gのバンド | A/B ver WCDMA (Bands 1, 2, 3, 5, 6, 8, 19) C ver WCDMA (Bands 1, 5, 8) |
4Gのバンド | A ver FDD-LTE (Bands 1, 2, 3, 5, 7, 8, 18, 19, 20, 26, 28, 32),TD-LTE (Bands 34, 38, 39, 40, 41) B ver FDD-LTE (Bands 1, 2, 3, 5, 7, 8, 18, 19, 28),TD-LTE (Bands 38, 39, 41) C ver FDD-LTE (Bands 1, 3, 5, 7, 8, 20),TD-LTE (Band 40) (All network spec TBC.) |
今回台湾版のZenfone5で諸々検証してきましたが、付属品は日本でも使えるコンセント形状だったので、このまま日本でも発売されるものと考えられます。
Zenfone5を使ってみた率直な感想
今回Zenfone5を使ってみた率直な感想としては、無難にまとまっているという印象です。
発表会でアピールされていたAI機能については、現状微妙というか恩恵を感じることは難しいですが、デュアルカメラの画質含めそれほど高機能だったり、マニアックな機能を必要としない層にとっては日本での販売価格次第で売れるのではないかと思っています。
Zenfone5の海外版は、EtorenやEXPANSYSなどの輸入販売サイトでは約4万円半ばで売られています。
5月15日以降に発表される日本においては、MVNO各社のキャンペーン次第ではそれよりも安く販売される可能性もありそうです。